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大切にすべきお客様は誰ですか?『筑波ハム』の本店主義 【筑波ハム さま】

大切にすべきお客様は誰ですか?『筑波ハム』の本店主義 【筑波ハム さま】

『筑波ハム』のEC事業は、2002年に本店(独自ドメイン店)オープンからスタート。ヤフーショッピング、ビッダーズ、楽天市場への出店経験を経て、進むべき方向性が見えたと話すのは、筑波ハムオンラインショップ店長の佐藤氏だ。たどり着いた答えは「本店主義」。『筑波ハム』にとっての本店とは、オンラインショップの独自ドメイン店『筑波ハム』と、茨城県つくば市にある『筑波ハム』レストラン(工場もある)との二つを指す。他店との差別化を際立たせ、優位性を出すためにはオンラインショップとリアル店舗との連携が欠かせない。景気の悪い中、またライバル店の多い中でも着実に売上げを伸ばし続ける『筑波ハム』の本店主義に迫る。

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混乱の果てにリアルとネット融合開始
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筑波ハム
筑波ハム

『筑波ハム』は1981年創業。養豚農家がはじめた手作りハムの企業だ。富士山と対比されるほどの美しさをもつ紫峰筑波山を仰ぎ見ることができる土地に、レストラン、販売所、工場を構えている。ネットへの進出は2002年。独自ドメイン店を作り、全国に向けてネット販売を開始した。

当初はレストランはレストラン、ネットショップはネットショップという考え方を取り、運営も別々に行っていた。レストランで食事をするお客様は、地元客か観光客がほとんど。食事の帰りにレストラン内の販売コーナーで、ハム、ベーコン、ヨーグルトなどを購入する。ところが、ネットショップができると、リアルのお客様がネットショップへと流れるようになった。別々の運営体制をとっていた『筑波ハム』には、注文、問い合わせ、苦情の電話やメールが交錯。混乱をおさえるために、2年前にすべての窓口を一本化し、リアルとネットとの融合がはじまった。

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観光スポットの強みを活かす
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『筑波ハム』のレストランは、はとバスや旅行会社のツアーでも人気だ。筑波山、那珂湊漁港、水戸偕楽園の梅まつりなどの往路か復路に、筑波ハムの食事、工場見学、手作りハムの体験教室などが組み込まれる。多いときは大型バス2台が乗り付け、80名の団体を迎えることもあるという。全国から足を運ぶお客様が、帰宅後はネット注文を活用してくれたら、『筑波ハム』ネットショップにとっては大きな集客の助けとなる。

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旅好きグルメの中高年層をファン化する
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ベーコン250gが1,658円、つくば豚ロースハム550gが5,692円と、価格帯がやや高めの『筑波ハム』。価格競争が激しいネットの世界で、新規客を取り込むことは容易なことではない。ネットでモノを買うことに対する不安、知らない店舗への警戒心などを考えると、一度、レストランに足を運び、味に納得しているお客様に、ネットでリピート購入をさせることを考えたほうが賢明だ。はとバスや旅行会社のツアーに申し込むのは、ある程度時間とお金に余裕のある層だと仮定すれば、お中元、お歳暮への誘導も喜ばれるかもしれない

平日に休日にと観光を楽しむ中高年層に、いかにネットショップでの購入を仕掛けるかが、佐藤氏の課題となった。チラシのリニューアルでは電話番号、ファックス番号、サイトのURLを見やすく工夫した。Webサイトのリニューアルでも、分かりやすさ、買い物のしやすさを優先するようデザイナーに指示をした。レストラン『筑波ハム』からネットショップ『筑波ハム』への誘導によってつながりを保つことができれば、「また筑波ハムに行きたい」「今度は体験教室でベーコンを作ってみたい」「家族やお友だちを連れていきたい」とレストランとネットショップとの回転がはじまる。長いスパンでお付き合いできる『筑波ハム』ファンを作っていくことこそ、佐藤氏のほんとうの狙いなのだ。

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モールから学んだ「本店主義」
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このように「本店主義」を決めたのは、ヤフーショッピング、ビッダーズ、楽天市場など複数のモールへの出店を体験した結果でもある。佐藤氏は、各ショッピングモールをこう分析する。「ヤフーショッピングは、正統派ショッピングモールという印象です。ただお客様が2極化している点で、やりにくさを感じました。検索エンジンとしてのヤフーは、初心者向け。初めてパソコンに触れる人も多い。しかしもう一方で、ヤフーオークションからヤフーショッピングに流れてくる顧客も多く、彼らはオークションの勢いそのままに"お取引お願いね"と軽いノリでやってくる。ヤフショッピングでは、ターゲットが絞りきれないままだった」と話す。迷いながら4年。佐藤氏は、『筑波ハム』ヤフーショッピング店の閉鎖を決めた。ビッダーズに至っては、客層を見分けることが更に困難で約1年で撤退。この経験から佐藤氏は、顔の見えない顧客に対して販売することの難しさを学び、レストラン『筑波ハム』に来る「顔の見えるお客様」を優先しようと決めた。

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楽天市場店は、第2の売り場
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ヤフーショッピングとビッダーズを切り捨てた『筑波ハム』であるが、楽天市場については、第2の売り場の可能性を感じている。当初「楽天=安い」という先入観と、既にハムのジャンルのライバル店も多かったことなどから、楽天市場への出店に躊躇があったという佐藤氏だが、その心配はすぐに驚きに変わった。楽天市場店オープンの直後から注文が入り始め、人通りを多さを目の当たりにしたのだ。「楽天のお客様は、買い物に慣れています。ポイント効果もあってなのか、お客様は皆、あれも楽天、これも楽天と、何でも楽天で買いますね。楽天の三木谷社長がおっしゃった通り、楽天はグルメに強く、楽天自体もグルメに力を入れている。それをすぐに実感できました」

楽天市場との相性の良さを確信したのは、2010年に東武百貨店池袋店で開催された「楽天うまいもの大会」だった。実際にお客様と会えることが大事と考える佐藤氏にとって、催事での販売は安心感があった。催事で出会ったお客様に、次は楽天市場店で買っていただく。この回転は、レストラン『筑波ハム』とネットの独自ドメイン店との回転とは別の回転を生み出した。タカシマヤ、西武、東武などのデパートの催事なども、ネットとの連携をいちばんの目的に考え推し進めることができた。

「いちばん大切なのは本店。本店主義を貫き、楽天市場はあくまでも第2の売り場と考えています。楽天は本店に比べるとスピード感があり、広告費をうまく使えば、瞬間的な売上げも作れます」と佐藤氏。楽天の広告には効果がなくなったという人もいるが、グルメに関しては『筑波ハム』のように成果を上げているところも多いようだ。「楽天市場へはまだ出店して2年を過ぎたばかり。サーチワード広告、メアドの獲得、メルマガ発行、広告も組み合わせて販促をかけていきます。お中元、お歳暮の売り方は分かってきました。昨年末は商品が無くなってしまうほど売れ、年間売上げは前年比の200%を達成しましたから」と第2の売り場への期待値は高い。

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お客様が誰か? 誠意のこもった運営を!
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『筑波ハム』の本店主義が教えてくれることは、「お客様の選び方」ではないだろうか。「いまの世の中、作ろうと思えば売り場はいくらでも作ることができる。販売チャネルを増やすことも大切であるが、お客様が誰なのかをしっかりと見て、ひとりひとりを確実にファンに育てていくような誠意のこもった運営こそ、長く愛される秘訣なのかもしれない。


【参考URL】

筑波ハム
http://www.tsukubaham.co.jp/

フクダのここがポイント
▼モールに頼らない「本店主義」を貫こう
▼瞬発力のある楽天を第2の売り場と考えよう

※本連載は、日本流通産業新聞社発行 週刊「日流eコマース」にて連載中の
「人気ECサイトのコンテンツ&文章力」(2011年5月) に掲載されたものです。
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