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出会ったけど、選ばれない<ユーザー体験シナリオ 最終回>

出会ったけど、選ばれない<ユーザー体験シナリオ 最終回>

2010年10月28日
 こんにちは。グリーゼの こみやまたみこ です。

 ちょうど今、新潟県柏崎市の連続セミナーで、
 『ユーザー体験シナリオ』
 についてのワークショップをやっているところです。

 そして、ほとんどの方が、『ペルソナと出会えない~(涙)』と、
 頭を抱えているところです。

 悩んでいる顔を見ると、喉元まで、

 『シナリオなんていいから、まずは始めちゃおうよ!』
 『走りながら考えれば、なんとかなるよ!』

 という言葉が出かかるのですが、

 いやいや、『まずは始めよう』『走りながら考えよう』が
 通用したのは、10年前までのこと。

 机上のシミュレーションで出会えないものが、
 実際にやってみたら出会えた、なんて幸運は、
 万にひとつくらいしか起こらないのだから・・・と
 自分に言い聞かせて、受講者の皆さんをムチ打っています(^-^)


 「インターネットっていうのは、お客様が見えないからね~、
  見えれば、なんとでもやりようがあるんだけどなぁ」

 あ、林檎屋のNさん、こんにちは。

 でもね、あっという間に出会えちゃう場合もあるんですよ。

 「ほんとかぁ?」

 今まで繰り返し言ってきた通り、
 『インターネットは検索する道具』です。

 ですから、
 "検索してもらえる商品・店=既に認知されている商品・店"
 であれば、あっという間に出会えます。

 例えば、週刊日流eコマース紙の少し前の号に掲載されている
 『ワールドコンクエスト』さんは、

 「ショップを立ち上げてすぐに、売れるようになった。
  当時の月商は500万円前後だったが、ネット通販を始めた途端、
  通販だけで月商が2,000万円以上になった」

 とおっしゃっています。

 「ほんとかよ!? そのショップ、一体を何売ってるの?」

 メンズアパレルです。

 「???」

 え~男性向けの服、です(笑)

 「服なんて売れるのかよ?
  だって、前にコミヤマさん、服は検索されないから売りにくいって、
  どっかで言ってなかったっけ?」

 そうですそうです、よく覚えてましたね(^_^)

 服が売りにくいのは、実店舗の場合の購買行動である、

 ぶらぶらウィンドゥショッピングをしていて、
 ↓
 ふと目に留まって、
 ↓
 手に取って見ていたら、
 ↓
 店員さんに、
 『それいいですよね~、今ウチでいちばん売れてるんです、
  実は私も、持ってるんですよ~』
 とか言われて、だんだんその気になって、
 ↓
 うっかり試着して
 ↓
 勢いで買っちゃう

 みたいな流れが、インターネットでは、非常に作りにくいからです。

 しかし、『ワールドコンクエスト』さんの場合は、
 お客様に探してもらえるように、
 ペルソナがよく読んでいる雑誌に、継続的に広告を出稿しています。

 だから、ネット販売を始めた途端、売れたんです。

 つまり、「欲しい!」と思わせるという、
 インターネットが苦手としている部分は、雑誌に仕事をさせて、

 「購入」という手続きだけを、
 ネットショップなり、モバイルショップなりに担当させている・・・
 ということなんです。

 「で、でもさ」

 どうしました?

 「そこで、例えばお客様が、
  ナントカカントカっていう服のブランドを広告で見て、
  検索したとするだろ?

  その時、ナントカカントカっていうブランドの服を売ってるお店が
  いっぱい出てきたらどうなるのよ?

  せっかく広告したのに、ワールドナントカって会社では
  買ってもらえないってことになっちゃったりしないの?」

 おおぉ~、Nさん、だんだん想像力が鍛えられてきましたね。
 すごいすごい。

 「へへ、まぁな(嬉)」

 その通りですね。

 今、柏崎の人達は「出会えない~出会えない~」って悩んでますけど、
 出会った後にも、まだまだハードルがあるんです。

 今日は、この「出会った後」の話をしましょう。



 ────────────────────────────
 1:出会い
 ────────────────────────────

 『ワールドコンクエスト』さんの場合は、メーカーさんで、
 他では扱っていない商品を販売されていますので、

 ナントカカントカっていうブランドの服を売ってるお店が
 いっぱい出てきたらどうなるのよ? という心配は無用です。

 でも、通常は、Nさんが言う通り、いっぱい競合が出てきますよね。

 具体的に例を挙げて考えてみましょう。

 例えば・・・そうですね、インターネットでも最も競合の多い
 サービスのひとつである、印刷屋さんの例で考えてみましょう。

 Nさんが、実店舗をもう1店舗、
 オープンすることになったとします。

 「いや、それはムリ!」

 えっと・・・例ですので(^^;;;

 そこで、今までのお得意さんに
 開店案内のハガキを出すことにしました。

 Nさんは、どうしますか?

 「そりゃ、パソコンで案内ハガキ作って、出すに決まってるでしょ」

 えっと・・・
 それだと、そもそも検索しない=ネットの印刷屋さんには、出会えない
 ということになってしまいますので(汗)

 (でも、こういう発想は、とても重要です。
  大抵の人は、いきなり検索したりはしないのです。)

 『とっても忙しくて、自分で作ってる時間がない』とか  
 『ちょっと凝った2つ折りの案内状にしたい』とかの場合で
 考えてみてください。
 その場合、どうしますか?

 「つきあいのある印刷屋に頼むんじゃないの?」

 えっと・・・その場合も、
 そもそも検索しない=ネットの印刷屋さんには、出会えない
 ということになってしまいますので(大汗)

 (だから、なかなか出会えないんですよね~)

 『これといった知り合いの印刷屋さんもいない』
 『知ってる所は、ちょっと高い。もっとコストを下げたい』
 とかの場合で考えてみてください。
 その場合、どうしますか?

 「まぁ、ネットで探すだろうね」

 はぁ~、良かった。やっと検索してくれましたね(笑)
 で、どういうキーワードで検索しますか?

 「う~ん、"印刷 栃木"かなぁ。
 "開店案内 印刷 栃木"かもしれないし」

 栃木、が入るんですね?

 「うん・・・なんとなく近くが安心かなと思って」

 はい、じゃあ、それで検索してみましょう。

 Yahoo! で約70件、Google で約74,000件、ヒットしました。

 (ずいぶん、差がありますね・・・)

 その後どうしますか?

 「印刷屋と思われるサイトを、順に見ていくだろうね」

 何サイトくらい?

 「まぁ、せいぜい検索サイトの2ページめまでに載ってる分だろうな」

 では、「開店案内 印刷 栃木」で検索した時に、
 検索サイトの2 ページめまでに表示された印刷屋さんは、
 Nさんと出会えるということですね(^_^)

 その後、どうしますか?



 ────────────────────────────
 2:出会った後(1) ~ 候補の絞り込み
 ────────────────────────────

 「まあ、いくつか候補を選ぶんだろうな」

 どんな基準で選びますか?

 「そりゃ、探してる目的によって違うわな。
  コストを下げたいっていって探してるんだったら、
  安い!!って書いてある所を、候補にするだろうし、

  急いでるんだったら、3日でOK!みたいな所を、
  候補にするだろうし、

  凝った案内状を作りたいって思って探してるんだったら、
  デザイン力がありそうな所を候補にするだろうね」

 その通りですね。

 つまり、候補に残れるかどうかは、ペルソナのデ×××に
 よって、変わるということです。

 で、Nさん、デ×××って、なんでしたっけ?

 「デ? デ・・・デ・・・デベソ?」

 ペルソナのデベソと、印刷がどんな関係があるんですかっ☆

 「デ? デ・・・デ・・・デザイン?」

 ペルソナのデザインって、意味がわかりません(>_<)

 正解は、デマンド、つまり、要求ですね。
 何を求めて検索しているかによって、変わるということです。

 ですから、ページを制作する時には、どんなペルソナが
 どんなデマンドをもって、検索しているかを想像して作ることが、
 とっても大事なんですね。

 「ほほぉ~」

 じゃあ、今回は、ペルソナのデマンドを、
 『とっても忙しくて、自分で作ってる時間がない』
 だとしましょう。

 そうすると、納期が速い所が、候補に残りますよね?

 「そうだな」

 じゃあ、納期が同じくらい速い所が、10社あったとしたら、
 どうしますか?



 ────────────────────────────
 3:出会った後(2) ~ 候補の比較検討
 ────────────────────────────

 「やっぱり安い所を選ぶんじゃないの?」

 最安値の所を選びますか?

 「いや、そりゃないね」

 なぜですか?

 「最安値でも、ちゃんとした会社かどうかわからないとことかは、
  イヤじゃん。

  後でトラブルになったりしたら、かえって時間取られちゃうし」

 じゃあ、安くて、ちゃんとした会社がやってそうな所?

 「・・・だけでもないかもしれないなぁ」

 ほほぉ、他にも何かありますか?

 「印刷って、あれじゃん? データ入稿しろとか言うじゃん?
  そういうの、オレよくわかんないし、

  トンボをなんとかしろとかも、よく書いてあるけど、
  それも意味わかんないし。

  オレでもわかるような方法で、依頼ができる所だね。

  しかも、それが、サイトにわかりやすく書いてある所ね。

  サイトにあれこれ、だらだら書いてあってもわかんないからさ」

 なるほど~。いろいろ条件が出てきましたね。

 つまり、最初の絞り込み条件である『納期』に加えて、

 ・価格
 ・会社の信用
 ・サイトのわかりやすさ
 ・データの受け渡しのしやすさ

 などを、比較検討しながら、候補を絞り込んでいくわけですね。

 そこまで検討すれば、1社に決められますか?



 ────────────────────────────
 4:出会った後(3) ~ 不安を確信に変える
 ────────────────────────────

 「決められる場合もあるけど、決められない場合もあるだろうね」

 決められないのは、どういう時ですか?

 「大体同じような所が、2つか3つ残る場合もあるよな?」

 そういう時は、最終的にどうやって、『ここにしよう』って
 決めるんですか?

 「そうだな~。送料とか、支払い方法かなあ。
  送料高いのイヤだし、クレジットで払いたいし。

  後は、印刷前のデータを確認させてもらえるとか、
  そういうサービスの違いかなあ。

  後、領収書つけてくれるとか。

  似たような所が何か所かあったら、そういう所で
  決めるしかないよな。」

 そうですね。

 最後は、『本当にここに決めて大丈夫かな?』を『大丈夫だ!』に
 変えるステップになるのですが、

 競合が多ければ多いほど、『選ばれる理由』をいくつも持っていないと
 なかなか選んでもらえないということになります。

 ですから、印刷屋さんとか印鑑屋さんなんかは、
 『選ばれる理由』を見つけることが、本当に難しいですね。

 つまり、『出会ったけど、選ばれない』ということが、
 往々にして起こるのです。

 「そうか、そりゃ大変だな・・・」

 その点、Nさんの場合は、競合が少ないので、シナリオがシンプルです。
 ちょっとNさんの『ユーザー体験シナリオ』を見てみましょうか。

 「えっ、そんなものあったっけ?」

 だいぶ前に奥さんが作ってくださったじゃないですか。

 「あ~、かーちゃんが!」

 はい、コレ↓です。
 http://kotoba-no-chikara.com/days/img/041_1.pdf

 Nさんの場合、出会いさえすれば、その後は、奥さんの機転の利いた
 接客のおかげで、一気にクロージングにもっていけるんですね~。
 いいですね~。

 「そうだけどさ・・・」

 あれ? なんか浮かない顔してますね。

 「これって、競合が少ないから、
  印刷屋さんよりラクなシナリオなんだよな?」

 そうです、そうです。

 「・・・ってことは・・・うまく言えないけど、
  競合も少ないけど、お客様も少ないってことじゃないの?」

 よく気がつきましたね~。

 Nさんの今のビジネスモデルは、奥さんと2人で、実店舗の傍らで、
 細々とやっていく分にはいいモデルですが、

 ネットだけで食べていこうとか、
 もっと商売を大きくしよう、という場合には、ちょっと弱いですね。

 しかも、今は競合が弱いので、このモデルでなんとかなっていますが、
 もっと戦略的に考えられる競合が出てきたら、
 奥さんがやっていることを真似されて、
 あっという間にお客様をもっていかれる可能性がありますね。

 「ダメじゃん、それ!」

 ダメですか?

 「ダメだよ!
  前にも言ったけど、近所に大手スーパーができて、
  実店舗なんていつ潰れちゃうかわからないんだから、
  ネットだけで食えて、大手が出てきても大丈夫なモデルじゃなきゃ、
  困るんだよ!」

 そうですか。じゃあ、次回はNさんのショップコンセプトを
 1から見直してみましょう。

 久しぶりに、奥さんも連れてきてくださいね~♪

 「きっと、オレの成長に驚くぜ!」

 そうですね(笑)


  ※このお話は、フィクションです。



 最初は、のらりくらりだった林檎屋のNさんも、
 最近、少しずつ真剣になってきたようですね。

 それだけ、実店舗の状況が厳しくなってきている
 ということなんでしょう。

 次回から、いよいよ「ショップコンセプトの見直し」に入っていきますが、
 最初にやることは、「資産と強みの棚卸」です。

 資産=「それがある」「それを持っている」
 ということ自体に価値があること

 例えば、何かの賞を受賞したとか、特別な設備を持っているとか、
 認可や資格を持っているとか、そういうことですね。

 強み=「他と比べた時に」価値があること

 例えば、送料・発送スピード・品揃えなどですね。

 そして・・・重要なのは、
 「自社の資産と強みは、意外と自分では気づきにくい」
 ということです。

 ですから、異業種のお友達などと一緒に、棚卸をしてみることを
 オススメします。

 先述した柏崎のコースでも、あるお肉屋さんが、
 自分では全く「強み」と思っていなかった「すごい強み」を、
 別の受講者の方が発見して、一同
 「おおぉ~~!!」とどよめいたことがありました。

 皆さんも、ぜひ次回までに、棚卸、やってみてくださいね(^_^)

 Nさんにも、宿題として出しておきますね♪

 それでは、今回はこのへんで。

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