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それはベネフィットではなく、ベネフィットの根拠です

それはベネフィットではなく、ベネフィットの根拠です

2009年1月22日
 こんにちは。グリーゼのこみやまたみこです。

 今回は、2008年12月25日発行「ベンチマーキングの3ステップ」の号で
 少しだけ触れた、「ベネフィット」についてもう少し深く考えてみたいと
 思います。
 
    ※ベネフィット(benefit)
     利益(エキサイト翻訳 他より)

「ホイラーの法則」という、マーケティングの古典本のサブタイトルである
「ステーキを売るなシズルを売れ」の「シズル」も
「ベネフィット」と類似の意味で使われることが多いようです。

   ※シズル(sizzle)
    揚げ物や肉が焼ける際の「ジュージュー」という音の英語の擬音語。
      
    転じて、食品の味わいを想起させる写真・映像や図案。

    さらに広告においては、食品に限らず企業や商品など対象物の魅力や
    価値という意味にも使用される。 (ウィキペディアより)

 つまり、「ステーキを売るなシズルを売れ」の意味は、

   サーロインステーキ 200g 600Kcal という「モノ」を売る 

 のではなく

   ステーキが「ジュージュー」と焼ける音から連想されるステーキの価値
   =「美味しいモノを食べる幸せ」
   =「ベネフィット」を売れ

 ということですね。


 ところが、2008年12月25日号にも書いたとおり、
 「うちの商品のベネフィットって何なの???」と悩んでしまわれる
 オンラインショップの店長さんが、たくさんいらっしゃいます。

 あ、産地直送の林檎を販売されているNさんが、

「まさか、そんなぁ。だって自分の商品でしょ?
 自分が売っている商品のベネフィットがわからない店長なんているの?」

 と笑っていますよ。

 それでは、Nさんに質問です。

 なぜ、あなたの商品ページのトップ写真は、
「生産者さんの写真」になっているのでしょうか?
 


 ────────────────────────────
  ベネフィットを連想させる写真とは
 ────────────────────────────

 商品ページの一番上には、「商品のベネフィットを連想させる写真や
 コピー」を大きく載せるべし

 というセオリーをご存じの方は、きっとたくさんいらっしゃいますよね。

 だからこそ、商品ページのトップに

   林檎を売っているお店なら、林檎に陽を当てている生産者さんの写真

   海産物を売っているお店なら、船の上の漁師さんの写真

   こだわりの革の鞄を売っているお店なら、
   職人さんが持ち手を加工している写真・・・

 を出しているお店が多いのだと思います。

 また、メインのコピーを

   「沖縄の歴史が生んだ陶芸品」
   「宮崎県の美味しいお茶のお取り寄せ」

 のように書いているお店も多いと思います。


 Nさん「え? うちもそうだけど、それじゃいけないの???」

 きょとんとしているNさんと、ちょっとお話をしてみましょう。

      
 こみやま「なぜ、ステーキを売るのではなく、
      シズルを売るんでしたっけ?」  

 Nさん   「それは、冷たい生肉を見せられるより、
      ジュージューって焼けてる音を聞いたほうが、
      食べたい!と思うからだろうね」

 こみやま「なぜ、ジュージューって焼けてる音を聞くと、
      食べたくなるのですか?」

 Nさん   「そりゃ、ジュージューって焼けてる音を聞くと、

      焼きたてでジュージューいってるステーキを
      うめぇ~って言いながら食ってるところを一瞬にして想像して、
      唾液がぶわーっと・・・」

 こみやま「なるほど。では、Nさんの林檎だと、どうなりますか?

      どんな音を聞いたら、またはどんな写真を見たら、

      美味しい~って言いながら食べているところを
      一瞬にして想像して、
      唾液がぶわーっと湧いてくると思いますか?」
      
 Nさん   「そりゃ、音でいったら、サクッ、ジュワ~って感じかな。
      あ、ジュワ~っていうのは、果汁が溢れ出してるってことね。

      写真だったら、林檎をふたつに切ったときに、
      切り口からこぼれんばかりの金色の蜜がたっぷり・・・
      あ、あれ???」


 そうです。それが商品の「ベネフィット」=「美味しい」を連想させる
「シズル感のある音」であり、「シズル感のある映像」なんです。   



 ────────────────────────────
  それはベネフィットではなく、ベネフィットの根拠です
 ────────────────────────────

   Nさんが売っている林檎の「ベネフィット」は、
         →→→「美味しい」。

   「美味しい」ことを連想させる映像は、
         →→→「切り口からこぼれんばかりの金色の蜜」。

 ここまでわかっているにもかかわらず、
 なぜNさんは、「生産者さんの写真」をトップにもってきたのでしょうか?

 それは、Nさんが

「うちの林檎に蜜がたっぷり入っていて美味しいのは、
  生産者さんが、手間暇をかけて作っているからだ」

 と知っているからです。

 Nさんであれば、

   林檎に陽を当てている生産者さんの写真
   ↓
   こんなに手をかけているのだから、蜜がたっぷり入っているに違いない
   ↓
   う~ん、ここの林檎は美味しそうだ!

 という連想ができるので、

「生産者さんの写真」=「ベネフィットを連想させる写真」だと思って
  商品ページのトップにバーンと載せたわけです。

 ところが、私たち消費者の感性は、Nさんと同じではありませんよね。

「林檎に陽を当てている生産者さんの写真」を見たからといって、
「わぁ~、美味しそう!!」とは、ならないのです。

   冬の間には、風通しをよくして、病気が発生しないようにするために
   昨年伸びた枝や、太くなりすぎた枝を「剪定(せんてい)」する作業を
   して、

   夏前には、ひとつひとつの実が大きく育つように果実の数を調整する
   「摘果(てきか)」という作業をして、

   収穫の前には、果実の全ての面に太陽の光がまんべんなく当たるように
   「玉回し」作業をして・・・

   というように、毎日毎日生産者さんが手間暇をかけて
   育てているからこそ、
   蜜のたっぷり入った美味しい林檎ができるのです。

 ・・・という説明があって、そこに
「林檎に陽を当てている生産者さんの写真」があったときに初めて
「なるほどぉ~、だから美味しいんだ!」と思うわけですね。

 つまり、「生産者さんの写真」は、

「なぜ美味しいかというと・・・」という
「ベネフィットの根拠を説明する文章」と一緒に載せたときに
  初めて威力を発揮するのです。


 もう少し、別のお店の例を挙げて説明してみましょうか。

 Mさんが売っているサンマの「ベネフィット」は、
「新鮮で美味しい!」であり、

「なぜ新鮮なのかというと・・・」という「ベネフィットの根拠」が、

「朝、漁師さんが釣ってきたばかりのサンマを
  その日のうちに航空便で発送しているから」

 なんです。

 Yさんが売っている革の鞄の「ベネフィット」は、
「この鞄を持っていると、オシャレに見える!」であり、

「なぜオシャレに見えるのかというと・・・」という
「ベネフィットの根拠」が、

「この道30年のベテランが、
  持ち手部分に特別なデザイン加工を施しているから」

 なんです。

「ベネフィット」と「ベネフィットの根拠」の違い、おわかりでしょうか?



 ────────────────────────────
  「なぜなら」と「しかも」
 ────────────────────────────

「林檎に陽を当てている生産者さんの写真」が、
「この林檎は、美味しい。なぜなら・・・」という
「ベネフィットの根拠」の情報であるとすると、

   「沖縄の歴史が生んだ」
   「宮崎県のお取り寄せ」

 などは、「しかも」の情報になります。

 ちょっと、こんな場面を想像してみてください。

   主婦A「あらBさん、このコーヒーカップ、素敵じゃない?」

   主婦B「そうでしょう。色に深みがあって、気に入ってるのよ。
       しかも、これって沖縄の伝統的な焼き方で
       作られてるんですって」

   主婦A「へぇ~」

      「あら、このお茶、ほんのり甘みがあって美味しいわね。」

   主婦B「そうでしょう。お友達のこみやまさんにもらったのよ。
       しかも、宮崎のお茶屋さんからお取り寄せしたんだって」

   主婦A「ふぅ~ん」

 ・・・お気づきでしょうか?

 お客様が「沖縄の焼き物」について
 何の価値も感じていない(知らない)場合、

「沖縄の歴史が生んだ」という説明は、
「コーヒーカップが素敵であること」の「根拠」にすら、なっていません。

 お客様が「宮崎のお茶」について何の価値も感じていない(知らない)場合、
「宮崎県からお取り寄せした」という説明は、
「お茶が美味しいこと」の「根拠」にすら、なっていないのです。

 どちらも「オマケの情報」くらいの価値でしかありません。

 ですから、主婦Aさんは、

   「なるほど! だから、このコーヒーカップ、素敵なのね!」とか  
   「なるほど! このお茶が美味しい理由ってそれだったのね!」とか
 
 いうリアクションではなく、
「へぇ~」「ふぅ~ん」という相槌になったわけです。

 この「オマケの情報」を、
「ベネフィット」と間違えてしまう店長さんも、よくいらっしゃいます。

 ご自分が

   「沖縄の歴史が生んだ」
   ↓
   だから、いいモノだ!

   「宮崎県からお取り寄せした」
   ↓
   だから、美味しい!

 という「連想」が働くので、お客様もそうだと思うのかもしれませんね。 

 ご自分の生まれ育った土地に
 思い入れと誇りを持っていらっしゃる方に多い勘違いです。

 あれ? Nさん、何かご不満そうですね?

 Nさん   「よくわかんないけどさぁ、要は全部載せときゃいいんだろ?

      たしかに、うちの商品ページのトップ写真は、生産者さんだし、

      "栃木の太陽と大地の恵み"っていうコピーも入れてるけど、

      買い物カゴの横には、ちゃんと蜜たっぷりの写真も載せてるんだ
      から、

      それでちゃんとベネフィットは伝わるんじゃないの?」
 
 ところが、そうではないのです。

 そうではない理由については、また次回お話しますね!



 【参考URL】

 2008年12月25日発行「ベンチマーキングの3ステップ」
 http://kotoba-no-chikara.com/days/komiyama/000005.html

 ホイラーの法則
 http://www.amazon.co.jp/dp/4828405305





 今回は「林檎」=「美味しい」という
 わかりやすい「ベネフィット」を持つ商材を例にしてお届けしましたが、

 実は、1商品=1ベネフィットとは限りません。

 複数のベネフィットを持つ商品として、どんなモノが思い浮かびますか?

 また、複数のベネフィットを持つ商品の場合、
 どのように商品ページを作っていけばいいと思いますか?

 ぜひ、考えてみてくださいね。

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